黒字倒産の危険性
倒産する会社の大半は赤字経営ですが、キャッシュフローが悪いと黒字でも倒産するケースがあります。特に建設業界など支払いサイクルが長い業種は黒字倒産が多く、景気が良い時に増加します。
近年もアベノミクス効果で黒字倒産が増加傾向になっています。
黒字倒産の仕組み
バランスシート上は黒字でも、支払いサイクルが遅いと手元の資金がショートすることが原因で起こります。
たとえば、建設業で請求書の発行から支払いが150日だった場合、約5ヶ月の間は新しい仕事を受注して人件費や仕入れ費用を売上で対処することができません。
会社は利益よりもキャッシュフローの方が重要とも言われています。
常に受注した仕事をこなせるだけの現金を手元に確保しておくことが大切です。
どんぶり勘定をする経営者は特に注意しましょう。
キャッシュフローの基礎知識はコチラのページで紹介しています。
黒字なら銀行が貸してくれないの?
銀行融資を受ける場合、バランスシートや決算が黒字であれば融資を受けられる可能性は高いです。
しかし、キャッシュフローが悪かったり売掛先(取引先)の信頼性が乏しいと銀行も慎重になります。
長年黒字経営を続けてきた会社であれば、最終的には銀行融資を受けられますが、審査や融資実行までに時間がかかります。
その結果、必要な期間内に資金調達できず、受注した仕事の納期に遅れたり結果的にキャンセルされてしまい損失が発生する場合もあります。
黒字であれば、いつでもスピーディーに融資を受けられると甘く考えていると、融資実行までのタイムラグで大きな問題に発展することもあります。
運転資金がショートすると、取引先からの信頼が下がり、すでに仕入れや人件費を投じた仕事が流れてしまって倒産に追い込まれる事例が多数あります。
黒字決算を避けるには
まずは取引先に支払いサイクルを早めてもらったり、相応の費用を前払いできないか交渉してみましょう。
また、仕入れなど必要な支払いを後ろ倒しにする交渉することも効果的です。
会社が好調なときは多少強気な交渉をしても取引先が応じてくれるケースはよくあります。
黒字倒産する会社の共通点として、取引先の言いなりになってしまっている問題があります。
また、受注が好調だと、ついつい在庫を大量に仕入れてしまい直近の資金を圧迫させてしまうことがあります。設備投資や在庫の大量仕入れを行う場合はキャッシュフローをしっかり確認してから行動に移しましょう。
投資すれば売上を増やせる自信があってもキャッシュフローが悪ければ無理な投資は控えて、どうしても先行投資を進めていきたい場合は事前に銀行へ融資の相談をしておくとよいでしょう。
商売はお金の支払いが信用に大きな影響を与えます。
黒字でも運転資金がなくて仕入れや人件費の支払いに影響が出ると従業員と取引先の双方から信用を失い悪い方向へ向かってしまうので注意しましょう。